第64回 2018年3月24日(土)「愉しいデザート」
鈴木美音:『はりねずみのベッド』じょ曲
モリコーネ:映画『ミッション』 より 「ガブリエルのオーボエ」
山下康介:NHK連続テレビ小説「瞳」メインテーマ
宮川彬良:『シンフォニック・マンボ No. 5』
グローフェ:『ミシシッピ組曲(音による旅行)』より
「ハックルベリー・フィン」「マルディ・グラ」
プログラムノート 飯田有抄(音楽ライター)
今年度のこども定期演奏会は「楽器ア・ラ・カルト」をテーマにお届けしています。今日はその最終回。おいしいお料理の最後にいただく「愉しいデザート」のように、チャーミングで華やかな音楽をお届けしましょう。オーボエとトロンボーンという管楽器の音色にも注目です。「こども定期演奏会2017」テーマ曲
鈴木美音:『はりねずみのベッド』じょ曲
鈴木美音さん(小学校2年生)からのコメントえんそう会がはじまる時のきもちを考えていたら、すごくわくわくして楽しいメロディーがうかんできました。
曲といっしょに、ハリネズミきょうだいが出てくるものがたりも考えました。
かわいくてウキウキするかんじがとても気に入っているので、たくさんのがっきでえんそうしてもらえるのを楽しみにしています。
わたしがもっと大きくなって音楽のべんきょうをいっぱいしたら、ものがたりのさいごまで、オーケストラのがくふを書いてみたいです!!
モリコーネ:映画『ミッション』 より 「ガブリエルのオーボエ」
最初はオーボエによる美しいメロディーを聴いていただきます。「ガブリエルのオーボエ」と題されたこの曲は、1986年に作られたイギリスの映画『ミッション』のために作られたものです。作曲したのはイタリアの映画音楽作曲家エンニオ・モリコーネ(1928~ )。この作品でモリコーネは、優れた映画やテレビドラマ音楽に贈られるゴールデングローブ賞作曲賞という栄誉ある賞をもらうことができました。ゆったりと心を温めてくれるような、オーケストラのハーモニーにも耳を澄ませて聴いてください。モリコーネの手がけた映画音楽では、『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989年)も有名です。山下康介:NHK連続テレビ小説「瞳」メインテーマ
続いてはトロンボーンがメインのメロディーを奏でます。2008年に放送されたNHK連続テレビ小説「瞳」のメインテーマです。榮倉奈々さんが主演したこのドラマは、東京の下町でダンサーを夢見る女の子の物語。爽やかに広がりを感じさせるこのテーマ曲を通じて、トロンボーンの深みある音色が、毎朝日本中のお茶の間に響き渡りました。ドラマの音楽を手がけた山下康介さんは、1974年静岡県生まれの作曲家。テレビドラマ「花より男子」、アニメ「ちはやふる」、ゲーム「信長の野望」など多くの映像作品のために音楽を作っていますから、どこかで山下さんの音楽を聞いている人は多いことでしょう。宮川彬良:『シンフォニック・マンボ No. 5』
タイトルにある「ライン」とは、ボン、ケルン、デュッセルドルフといったドイツの都市を流れるライン川のことです。作曲者は、ドイツ人のロベルト・シューマン(1810~56)。詩や物語と結びつけて音楽を書くことが多かったシューマンの作品には、タイトルの付いた作品が多いですが、この交響曲の「ライン」という呼び名は、シューマン自身によって付けられたものではありません。シューマンは、1850年(40歳)にデュッセルドルフ市の音楽監督(指揮をしたりコンサートを開いたりして、街の音楽文化を高める仕事をする人)になるために、ライン川の流れる街に引っ越して来ました。交響曲第3番は、その時期に書かれたものなので「ライン」と呼ばれるようになったのです。
新しい土地の人々に歓迎されたシューマンは、デュッセルドルフの美しい街並みに刺激されたのでしょう。またライン川上流にある大きなケルン大聖堂の見事なたたずまいからも、大いにインスピレーションを得て、この交響曲の作曲に取り組んだそうです。全部で5楽章ありますが、本日演奏されるのは第2楽章「スケルツォ」です。穏やかな川の流れを思わせるような明るく伸びやかな楽章で、どこか田舎風のほのぼのとした雰囲気も漂います。